走る生活とは

 きっかけはよくある些細なことだった。それは何とはなく見ていた夕方のテレビが報じていた1本のニュース。女性キャスターが、「今日は東京マラソンが開催されました」と原稿を読んでいる。そのあとに映し出されたのは、銀座を楽しそうに走っているランナーの映像だった。それまで運動にも、ランニングにも、ましてやマラソンなんかに何の興味もなかった。けれど、その時、その映像を見て、「銀座を走るなんて、なんだかおもしろそう」と思ってしまったのだ。

 あれからランニングにのめりこみ、ハーフマラソンから、フルマラソン、トレイルランニングへと興味はどんどんと拡大していった。走り始めると少しずつでも走力は向上し、速く走れるようになっていく。それが楽しくて、サブ3だ、100マイルだと多くの大会にも参加してきた。ただ、結局のところ、全ての原動力は、最初に感じた「なんだかおもしろそう」という好奇心が、今でも続いているのだと思っている。

 日常的に、生活の一部として走っている種類の人間には、「なぜ走るのか?」という根源的な問いを投げかけられることが多々ある。その中の1人として、その度に、何となくそれらしい回答をしてはみるものの、どうもしっくりこない。おそらく、その問いを投げかけられた人間の大半は答えに窮しているのだろうと思う。このままだと質問している側の疑問は少しも解消されず、永遠に平行線を辿ることになってしまう。

 「なぜ走るのか?」という疑問に対して、一言で答えるのは難しい。ただ、走ることには人を夢中にさせるだけの何かがあることは確かだ。私がこよなく愛するランニングカルチャー。それを1人でも多くの人に体感してもらいたい。そのために、走る生活に誘うための情報発信をしようと考えた。我々の走る生活に触れることで、ちょっとでも走ってみようかなと思ってもらえたらと心から願っている。

2022-05-04